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ISO/TS 26030:2019(社会的責任と持続可能な開発-フードチェーンでのISO 26000:2010の使用に関する手引)が、新しく制定された。
農場・協同組合・食品会社・加工業者・小売業者等が、持続可能な開発に貢献する方法に関するガイドラインを提供。
【概要】
ISO/TS 26030は、社会的責任に関するガイドライン規格であるISO 26000(※)を食品セクタに適用したもの。ISO/TS 26030は、食品生産チェーンに属する組織が、現地の法律、規制、及び利害関係者の期待をすべて考慮しながら、どのように持続可能な開発に貢献できるかに関するガイドラインを提供する。規模や所在地を問わず、食品会社、農場、協同組合、加工業者、小売業者などの組織が、その活動をすることで組織が社会に対してさらに責任をもつようになる活動のリストを開発する役に立つ。
社会的責任を果たすことは、事業にとってプラスになるだけでなく、すべての人の務めでもある。飢餓及び肥満の撲滅から天然資源の保護まで、世界の持続可能な発展において食料・農業業界が果たすべき役割は極めて大きい。
この手引きを開発したISO専門委員会の責任者であるSandrine Espeillac氏は、「食料生産チェーンのすべての段階に持続可能で社会的に責任のあるプラクティスを消費者がますます強く求めており、国際的に合意されたシステム及びプロセスが真に求められている。食料・農業セクタは私たちの世界と幸福に重要な影響を与える。従って、ISO/TS 26030を用いることにより、食品業界における社会的責任及び持続可能性の向上に役立つだけでなく、社会全体にもプラスの影響を与えるだろう。また、国連の17の持続可能な開発目標の多くに組織が貢献するのにも役立つ。これは、国連食糧農業機関(FAO)がこの文書の開発に参加したことにより、強化(補強)されている。」と述べている。
【※ISO 26000とは?】
ISO 26000は2010年11月に発行された、組織の社会的責任に関する手引を提供して規格。ガイドライン規格(手引き)であり、要求事項はなく、認証規格ではない。
世界中で気候変動などの環境問題や貧困など社会問題が深刻化していることを背景に、あらゆる組織に対して社会的責任ある行動を行うための指針を提供している。
企業の社会的責任というと、CSR(Corporate Social Responsibility)という言葉が一般的だが、ISO 26000は、企業(corporate)だけでなく、あたゆる「組織」を対象としていることから、単に「Social Responsibility(社会的責任)」と呼んでいる。
ISO 26000では、「企業統治」「人権」「労働慣行」「環境」「公正な事業慣行」「消費者課題」「コミュニティへの参画及びコミュニティの発展」を中核主題として掲げている。
【発行】
2019年12月17日(邦訳版・JIS未発行)
(出典)
●ISO(国際標準化機構)